今回は、アマチュアカメラマンの大沢光さんに貴重なお時間をいただき、2013年3月12日にインタビューさせていただきました。
プロフィール:大沢光
大貫カメラ歴:5年
出身地:神奈川県
所有カメラ:ライカM2、ローライフレックス3.5F
インタビュアー)
それではよろしくお願いいたします。
大沢さん)
お願いいたします。
インタビュアー)
早速ですがお年は…
大沢さん)
24歳です。
インタビュアー)
24歳という事は…
大沢さん)
今は大学院生です。
インタビュアー)
カメラを始めたきっかけというのは何でしょうか?
大沢さん)
はい、大学で写真部に入っておりまして、それで大貫カメラ様を利用させていただいて…。
インタビュアー)
大学はどちらですか?
大沢さん)
藤沢の日大になります。
インタビュアー)
ではそちらで写真部に入られて、大貫カメラの常連になったと…。
大沢さん)
はいそうです。
インタビュアー)
カメラを始められたのは、大学に入られてからでしょうか?
大沢さん)
はい。
インタビュアー)
なんで写真部に入ろうと思われたのですか?
大沢さん)
友達が写真を撮っていたんです。それを見てちょっとやってみようかなと思って、始めました。
インタビュアー)
…という事はその友達と一緒に写真部へ…
大沢さん)
そうですね。
インタビュアー)
そのご友人の方とは、大学でお知り合いになられたんですか?
大沢さん)
はい。大学に入ってすぐに友達になって、そのまま写真部へ…。
インタビュアー)
その方とは今も一緒に写真を撮られたりするんですか?
大沢さん)
その友達は今は編入して、日芸の写真学科へ行ってしまいました。
インタビュアー)
それではその方は本当にプロのカメラマンを目指されている、という事ですね。
大沢さん)
はい。
インタビュアー)
そういったきっかけがあって、大貫カメラに通うようになったわけですね。
大沢さん)
ええ。その友人とはまた別なのですけれど、ここで自分が撮影した写真などを見てもらったりして、色々講評などを聞かせていただいて…。
インタビュアー)
その内に段々とスタッフや他のお客様と親しくなられていった、という事ですね。
大沢さん)
はい。
インタビュアー)
では写真歴は大学に入ってからですから…
大沢さん)
4年…5年くらいですね。
インタビュアー)
5年前というと…一般にはデジカメが普及していて、フィルムを使ったカメラというのは…
大沢さん)
もうほとんど無かったですねえ。
インタビュアー)
こちらが撮影された写真になるのですけれど、これはデジカメで撮影されたのですか?
大沢さん)
いえ、これは全部フィルムで撮影しています。
インタビュアー)
あ、フィルム撮影なのですか?
大沢さん)
はい。フィルムで撮影して、印画紙に焼いています。
インタビュアー)
拝見しますと、モノクロ写真を中心で撮影されているようですが…。
大沢さん)
はい、基本的にはモノクロで撮影しています。
インタビュアー)
やはりモノクロとカラーでは、色々と違ってくると思うのですが。
大沢さん)
はい、違いますね。表現の仕方も違いますし…。
インタビュアー)
最近だとモノクロ撮影というのは、なかなか無いですよね。
大沢さん)
そうですね…でも逆にそこがいいというか…魅力を感じますね。
インタビュアー)
今お使いのカメラは…
大沢さん)
今はライカM2とローライフレックス3.5Fを使っています。
インタビュアー)
ライカというと高級なイメージがありますが。
大沢さん)
はい、ですのでバイトをしてお金を貯めて…
インタビュアー)
特に今ですとフィルムを手に入れるのも大変でしょうし。
大沢さん)
そうですね…フィルム代も結構かかりますし…。
インタビュアー)
でもこちらにいらっしゃれば、フィルムなどは簡単に手に入るでしょうし…。
大沢さん)
そうですね(笑)。そういう意味では非常にありがたいですね。
インタビュアー)
では写真を拝見させていただきます。…こうして拝見しておりますと日常の風景というか…
大沢さん)
スナップ写真がほとんどですね。
インタビュアー)
これは中国ですか?
大沢さん)
はい、この辺りの写真は中国の風景です。
インタビュアー)
では中国へ旅行に行かれて撮影されたのですよね。撮影のための旅行だったのですか?
大沢さん)
いえ、撮影メインの旅行では無くて、学校の研究で中国へ行きまして、そのついでに色々と撮影してきました。
インタビュアー)
これは中国のどの辺りでしょうか?
大沢さん)
中国へは三回行ってるのですが、四川省の辺りですね。
インタビュアー)
四川省というと、中国でも真ん中のちょっと田舎の方ですよね。
大沢さん)
そうですね。かなり田舎ですね。北京から西の方です。
インタビュアー)
確かに都会では無い、ちょっと田舎の風景ですね。
大沢さん)
ええ、場所によっては中国の方もあまり行かないような、言い方は悪いですがいわゆる貧困地域的な所にも行きました。
インタビュアー)
なるほど。…どことなく昭和の日本の風景を思い起こさせますね。
大沢さん)
そうですね。
インタビュアー)
この時は何日間行かれたんですか?
大沢さん)
この時は…一週間くらいでしたね。毎年大体一週間くらいです。
インタビュアー)
毎年行かれてるのですか?
大沢さん)
はい、もう三年間通いました。
インタビュアー)
では行く度に新しい風景とか、撮影方法を試したりですとか…。
大沢さん)
そうですね…。最初に中国へ行って撮影してきて、それを大貫カメラ様で見ていただいたりして、色々とアドバイスを受けたりして、次からはそれを活かすようにしています。
インタビュアー)
なるほど。
大沢さん)
でも…こういう所って気軽に撮影できないような場所が結構ありまして…。
インタビュアー)
ああ、ちょっと怖いかもしれないですね…。それは気をつけないといけないですね。
大沢さん)
ええ。
インタビュアー)
季節は夏ですか?
大沢さん)
夏です。7月~8月くらいですね。
インタビュアー)
こちらの写真も中国でしょうか?
大沢さん)
これは中国では無くて…鎌倉の日常風景をシリーズで撮影したものです。
インタビュアー)
鎌倉の海岸でしょうか?人は入っていますけれど、やはり基本スナップ写真ですね。
大沢さん)
はい。
インタビュアー)
あくまでも風景がメインという事ですね。風景を撮影される際に、こだわりみたいな物はあるのでしょうか?
大沢さん)
そうですね…風景ではあるのですが、なるべく人が入るようにはしています。それから人の配置のバランスなどには気を使っています。
インタビュアー)
なるほど、ただの風景では無くて…
大沢さん)
はい、人は欠かさず入れるよう心がけています。
インタビュアー)
確かに人が入る事でただの風景では無くて、ちょっとした生活感みたいな面白さが出てきますね。
大沢さん)
そうですね。ただの風景でしたら自分で無くても撮れますので…。
インタビュアー)
なるほど。あくまでも「自分らしさ」という事で人を入れている、という事ですね。
大沢さん)
ええ。動きなども生まれますし。
インタビュアー)
例えばモデルさんを使ったりはされるんでしょうか?
大沢さん)
モデルは…ポートレートはポートレートとして別に撮っているので、特にモデルを使っての撮影というのは無いです。
インタビュアー)
ではここに映っているのは、地元の方でしょうか?
大沢さん)
そうです。
インタビュアー)
…こうして見ると、鎌倉の風景もまた違った趣がありますね。
大沢さん)
ありがとうございます。
インタビュアー)
続いてこちらの写真ですが…人が映っていないようですが。
大沢さん)
これはまた違ったシリーズで、映っているのはアロエなのですが…実は私はアロエが好きでして…
インタビュアー)
はい。
大沢さん)
アロエって道端に生えていて、その辺を普通に歩いていても普通に生えていたりして…。でも僕にとってはそれが非日常的な物というか…綺麗な道の所に突如としてこんなおどろおどろしい物が生えている、という所に面白さを感じるんです。
インタビュアー)
確かに…言われてみると面白い形をしていますよね。
大沢さん)
はい。このシリーズは自分でも不思議なくらい気に入って撮影しているんです。
インタビュアー)
例えば大学では、こういったアロエとか植物についてご研究をされていたりするのですか?
大沢さん)
あ、大学では生物…森林についてを学んでいます。
インタビュアー)
なるほど。でもそういった森林の写真などは撮影は…
大沢さん)
それは…あまり撮影しないですね。
大沢さん)
写真はあまり植物…自然などは入れず、人工的な風景がメインですね。
大沢さん)
やっぱり普段とは離れて全く違った意識で写真は撮影しています。
インタビュアー)
あくまでも「趣味」という事ですね。
大沢さん)
そうですね。「趣味」ですね。
インタビュアー)
自分の研究とは別に、息抜きとしてやっていると…。
大沢さん)
ええ、そうですね。
インタビュアー)
人によっては自分の研究に役立てようとして撮影をする人もいると思いますが…
大沢さん)
それは「作品」にする必要は無いのかなと…。そういった写真も必要なので撮影はしていますけど、「作品」という事を考えるとちょっと離れた方面を撮影しますね。
インタビュアー)
なるほど。
大沢さん)
そういう必要があって撮影した写真は思い入れが強くなってしまうというか、主観が強くなってしまうというか…。
インタビュアー)
ああー、確かに。
大沢さん)
一歩引いて考える事が出来なくなってしまうんですよ。撮影した写真が果たして面白いのかどうか?という事も分からなくなりますし…。
インタビュアー)
確かに主観的になりすぎる、というのはあるかも知れませんね。
大沢さん)
ええ。
インタビュアー)
中国…鎌倉…という事は旅行に行かれるのが好きなのでしょうか?
大沢さん)
そうですね。大学生になってから旅行は多いですね。
インタビュアー)
写真がメインの旅行なのか…他の目的がメインで写真はついでなのか…。
大沢さん)
写真は撮影しますけれど、他の目的の時もカメラを持っていきます。
インタビュアー)
それで気が向いたら撮影…という感じでしょうか?
大沢さん)
そうですね。
インタビュアー)
特に目的を持って撮影するのでは無く、何か気が向いた物があったら撮影をする…。
大沢さん)
そうですね。そういう感じですね。
インタビュアー)
日常的にふと気になった物を撮影する、という事ですね。
大沢さん)
ですね。その瞬間瞬間を捉えていきたいですね。
インタビュアー)
でもそういう方が気楽で面白いかもしれませんね。
大沢さん)
そうですね。一応場所をテーマにしてスナップを撮り続けてはいます。
インタビュアー)
そういったアドバイスはやはりこちらで受けたりしたのですか?
大沢さん)
ええ。大貫カメラさんの常連さん、お客さん、先輩たちに色々と言われた事を参考にしています。
インタビュアー)
大貫カメラで学んだ事というのは多いですか?
大沢さん)
いやもう、それがほとんどですね(笑)。非常に目の肥えた方たちが多くいらっしゃってますので…。
インタビュアー)
特にこの数年でカメラを始められた、という事でやはり他の人からの影響も大きいと思うのですが。
大沢さん)
そうですね。他の人が撮影した写真も多く見るようにしています。
インタビュアー)
それは大事ですね。
大沢さん)
ええ、やはりレビューが出来ないとダメですね。特に他の人と同じ物を撮影していても面白く無いですし。…最初は練習という意味で他の人の撮影方法を真似する事も多かったのですが…。
インタビュアー)
例えば撮影会などには…
大沢さん)
撮影会などには参加しないですね。そういうのはあまり好きでは無いのです。
インタビュアー)
どうしても人がメインになってしまうからでしょうか?
大沢さん)
んー…そういう理由では無いですね…。どちらかというと、作られた表情を撮影するよりは自然体の表情を撮影するのが面白いですし…。自分に近い所にある物ほど自然な表情になりますので、それを撮影したいですね。
インタビュアー)
確かにこちらに映っているのは、自然な生活の中の一コマになっていますね。
大沢さん)
そうですね、そういう日常的な一コマを撮影するのが好きですね。
インタビュアー)
今後の目標などはありますか?
大沢さん)
…モノクロ写真は続けていきたいですね。
インタビュアー)
やっぱりモノクロにはそういった独自の魅力がありますか?
大沢さん)
ありますね。深みといいますか…、自分でコントロールしやすい部分が多いですね。
インタビュアー)
なるほど。
大沢さん)
今回撮影した写真の中のいくつかは、自分でフィルムを現像をして焼いています。
インタビュアー)
あ、これは撮影だけでなく、現像もご自分でやられているのですか。
大沢さん)
はい。カラーはさすがに出来ないのですが、学校に暗室があるのでモノクロは現像できるのですよ。
インタビュアー)
なるほど。学校の暗室を利用して…
大沢さん)
はい。学校には暗室も機械もありますので、そこを使って現像をしています。
インタビュアー)
なるほど。
大沢さん)
例えば普通にプリントすると、こうした空の部分などは真っ白になるんですが、そこだけ覆いこんでグラデーションにしてみたりですとか…。そういった試行錯誤が自分でできるのが面白いですね。
インタビュアー)
撮影した後も、自分で色々工夫できるという事ですね。
大沢さん)
そうですね。
インタビュアー)
現像作業の面白さですね。そういうのはやはりデジタルではなかなか出来ないですよね。
大沢さん)
一応デジカメは持っているのですが…それでも現像する際には少しいじりますね。
インタビュアー)
撮影したままでは無くて、修正を加えるという事ですね。
大沢さん)
ええ、それで少しでも自分らしさが出ればいいかなと…。
インタビュアー)
その辺りがこだわりでもあるのですね。
大沢さん)
ええ。
インタビュアー)
では今後もフィルムでの撮影は続けていかれる、という事ですね。
大沢さん)
はい。続けていきたいです。
インタビュアー)
でもこうした現像作業は、最初は手間取りませんでしたか?
大沢さん)
はい、大変でした。なにしろ教えてくれる人がなかなかいなくて…。特に現像とかプリントに関しては失敗が多かったです。温度管理や露光時間、絞りなど…撮影とは違った難しさがありました。
インタビュアー)
でもそういった難しさが面白さにも繋がってきますよね。
大沢さん)
そうですね。
インタビュアー)
デジカメであれば何度も修正はできますが…元に戻せないから面白いというのもありますよね。
大沢さん)
ええ。
インタビュアー)
大学の写真部には機材はあったけれど、誰も使い方を知らなかったのでしょうか?
大沢さん)
いや…教えてくれたのですが、あくまでも基本でした。本格的な踏み込んだ部分は教えてくれませんでしたね。
インタビュアー)
なかなか技術自体を知ってる人も少ないでしょうね。でもここ(大貫カメラ)に来れば知っている人もいるでしょうし…。
大沢さん)
ええ、アドバイスをいただけて大変助かりました。
インタビュアー)
そういった意味では、とてもいい場所ですよね。
大沢さん)
はい。
インタビュアー)
これもご自分で現像されたのですか?
大沢さん)
はい、これもそうです。時間が無い時は他人に焼いてもらったりするのですが、基本全部自分で焼くようにはしています。
インタビュアー)
…確かにカラーよりはモノクロの方が味わいがある、面白い写真になりますね。
大沢さん)
はい。モノクロでの撮影は今後も続けていきたいですね。
インタビュアー)
モノクロは今では現像もなかなか出来ないですからね。そういった意味では機材や環境があるという事は、とてもいい事ですよね。
大沢さん)
ええ。
インタビュアー)
中国は今年も行かれるのですか?
大沢さん)
いえ、今年はもう行かないですね。
インタビュアー)
ではその代わりどこか計画されていますか?
大沢さん)
実は…来年度から学校が変わって京都へ行く事になっていまして…
インタビュアー)
京都ですか?
大沢さん)
なので京都の風景を撮影しようと考えています。
インタビュアー)
京都であれば、そこら中にいい撮影スポットがあるでしょうね。
大沢さん)
そうですね。昔の町並みも多いですし…神社やお寺、山や川などもありますし。
インタビュアー)
…という事は、しばらくは大貫カメラとは離れてしまう、という事ですか?
大沢さん)
ええ。でも実家がこっちなので、戻ってきた折などには、顔を出そうと思っています。
インタビュアー)
その時には撮影された物を持ってきて、皆さんと写真を見せ合って色々お話してください。
大沢さん)
はい。
インタビュアー)
他に何か言っておきたい事などございますか?
大沢さん)
この中国の写真は、今度40枚くらい大貫カメラさんの店頭で展示させていただきます。
(※開催日時などは決まり次第告知いたします)
インタビュアー)
それはいいですね。皆さんに見てもらって色々と感想も聞けますし…。
大沢さん)
はい、よろしくお願いいたします。
インタビュアー)
本日はどうもありがとうございました。
大沢さん)
ありがとうございました。
作品、インタビューなど何でも結構ですので、ご感想をお聞かせください。
お待ちしております!
大貫カメラ: ohnuki.c@lily.ocn.ne.jp