今回は、プロ写真家の高橋康資様をお迎えして、
2018年2月20日にインタビューさせていただきました。

高橋 康資(やすし) 69歳 ※2018年4月現在
プロフィール
1985年 写真活動を始める。 報道写真家 浜口タカシ氏に師事。
2002年 高橋写真事務所を設立。
2015年 日本写真協会入会。
2018年 日本写真家協会入会。

主な受賞
2003年 第37回 キヤノンフォトコンテスト グランプリ
2003年 フォトシティさがみはら 金賞
2004年 フォトシティさがみはら 銀賞
2008年 第48回富士フィルムフォトコンテスト 金賞
2009年 第34回JPS展 優秀賞  (JPS展 2003年、2005年、2008年、2012年、2013年、2017年 6回入選)
2010年 第56回二科会写真部展 ラボネットワーク賞
2014年 第38回鉄道ファン / キヤノンフォトコンテスト 金賞

写真展
「江ノ電のいる風景」 コニカミノルタプラザAにて (2013年2月)
「東京駅新幹線ホーム -夢を乗せて東へ西へ-」 オリンパスギャラリー東京にて (2017年3月)

所属
日本写真家協会 会員
日本写真協会 会員

 

 

スタッフ

それでは今日はよろしくお願い致します。

高橋

お願い致します。

スタッフ

まずお生まれになった年はいつでしょう?

高橋

1948年になります。だから今69歳です。もうすぐ70歳ですね。

スタッフ

いただいたプロフィール(上記参照)を拝見しますと、写真活動を開始したのが1985年ということですが、それ以前からカメラはいじられていたのでしょうか?

高橋

カメラは…大学時代には持っていなかったですね。大学を卒業してから持つようになりましたね。

スタッフ

となると、1970年代…

高橋

そうですね、70~71年に卒業していますので、その頃ですね。

スタッフ

という事は、社会人になってからということでしょうか?

高橋

はい。社会人になってからしばらくは、写真は撮っていたんですが、本格的では無かったです。本格的に始めたのが33~34歳の時ですね。

スタッフ

では社会人になってからしばらくは、趣味的な感じで写真を撮られていたと。

高橋

そうですね。趣味的な感じでしたね。それまでは何を撮っていいのかとかも分からなかったんですよ。それで私は鎌倉に住んでいるんですが、ある時散歩がてら海へ行きましたら、ウインドサーフィンをやっているのが見えたんですよ。丁度その頃、ウインドサーフィンが一番盛んな頃でしたね。

スタッフ

ウインドサーフィンがブームだったんですね。

高橋

ええ。それでウインドサーフィンのサーファーが、鎌倉の海を埋めるくらいにいっぱいいたんですよ。

スタッフ

80年くらいでしょうかね?

高橋

その前後くらいですね。それでそういった風景を撮影していたりしたんですけれど、たまたまその中の1枚を投稿してみたんですよ。「CAPA」というカメラ雑誌だったかな。その「CAPA」の月例に応募したら、一席を取れたんですよ。

スタッフ

それは素晴らしいですね!

高橋

それが…カメラにのめりこむきっかけですかね。それから普段平日は会社があるので、土曜日や日曜日になると散歩がてら海に行って、撮影をするようになりましたね。

スタッフ

当時のカメラだと、結構大きかったのでは無いですか?

高橋

私が最初に買ったカメラが、キヤノンのFTbというカメラだったんです。そしてそれまで使っていたカメラは、露出をあわせるのが難しかったんですよ。

スタッフ

なるほど。

高橋

露出を測らないといけなかったり、結構手間だったんですけれど、このキヤノンのFTbというのが、始めてTTLメーターをつけたんですよ。

スタッフ

はい。

高橋

カメラを覗いた時にファインダーにラインが見えて、そこを目印に合わせていくと露出が合う、という仕組みだったんです。

スタッフ

それまでは露出計を使って、別に計らないといけなかったんですね。

高橋

そうです。それなりにカメラをやっている人じゃないと、露出などの知識が無かったので、難しかったですね。それが一眼レフカメラでも簡単に出来るようになって…ですね。

スタッフ

それまではカメラは持っていたけれど、趣味的な感じだったんですね。それこそ旅行に行った時や、家族写真などを撮る、というくらいで…。

高橋

そうです。そんな感じでした。それが写真を撮るきっかけでしたね。それからはもう本格的に写真を撮っていましたね。ウインドサーフィンの写真ばかり撮って、投稿していましたね。でもそれが結構入選したんですよ。

スタッフ

ウインドサーフィンを撮るには、海に行かないといけないから大変ですよね。

高橋

そうです。それにある程度風も無いといけないので…。あの頃はオートフォーカスでも無かったですから、大変でした。それで撮影を続けているうちに、今度は長玉つまり望遠レンズが欲しくなってきたりして。

スタッフ

はい。

高橋

でも望遠レンズがとても高かったんですよ。でもある時たまたま、レフレックスの500mmというレンズが売っていたんですよ。それがまあ、比較的給料の範囲内で買えるくらいだったんですよ。でもその望遠レンズのおかげで、海が綺麗に撮れるようになって、投稿して入選するようになりましたね。それからずっと、のめり込んでしまっていますね。

スタッフ

やっぱりそういう賞などを取ってしまうと、どうしても続けたくなりますよね。

高橋

そうですね。

スタッフ

そういった賞を取られてから、本格的に写真の道に入られたわけですね。

高橋

それでその後いつまでもウインドサーフィンばかりを撮影してもいられないと思って、二科会に入ったんですよ。

スタッフ

すごい本格的ですね。

高橋

それで二科会でやっているうちに、上のプロフィールにある2003年のキヤノンフォトコンテストに応募したんですよ。私、キヤノンが好きだったものですから。

スタッフ

なるほど。

高橋

キヤノンのFTbであったり、A-1であったりF1であったり、オートフォーカスになってからEOS-INとか…ずっとキヤノンでしたね。

スタッフ

キヤノン以外は使われてないのでしょうか?

高橋

デジタルになってからも、キヤノンですね。時々オリンパスを使ったりもしますけど。でもほとんどキヤノンですね。それでその2003年の時は、すごい調子が良かったんですよ。フォトシティさがみはらというのは、アマチュアとプロの部があって、アマチュアの部門で金賞(グランプリ)を取ったんですよ。それから三ヶ月くらい立ってキヤノンの方に応募したら、そちらでもグランプリになってしまいまして。

スタッフ

すごいですね。

高橋

この年はすごい幸運だったんですね。もう15年くらい前ですけど。

 

 

スタッフ

少し話を戻します。プロフィールの1985年に「報道写真家 浜口タカシ氏に師事」とありますが…。

高橋

これは神奈川二科会のつながりです。この方は神奈川二科会の創立者だったんです。

スタッフ

なるほど。

高橋

浜口さんとたまたま知り合いになったんですよ。それで「二科会に入ったらどう?」と言われまして。確かにそれまで自分は全く独自に写真をやっていましたので…。

スタッフ

独学だったんですか。

高橋

そう、独学だったんです。誰からも教わっていなかったんですよ。それで二科会に行ってみたら、それなりのハイアマチュアの方ばかりがいらっしゃったんです。

スタッフ

はい。

高橋

そこでそれこそフィルムの事から教わりましたね。私はそれまでネガフィルムで撮影をしていたのですが、「ポジフィルムの方がいいよ」と言われて、ポジフィルムを使うようになったり。

スタッフ

はい。

高橋

題材も、当時ウインドサーフィンしか撮っていなかったので、「他の物にも目を向けた方がいいよ」と言われたりしたので、そのアドバイスを参考にしたり教わったりして、スナップ写真などを撮るようになりましたね。そのおかげで、今はスナップ写真が主流になりましたね。

スタッフ

ではそこで写真の基礎であったり、テクニックなどを教わったということですね。

高橋

そうですね。そこでいろいろ勉強させてもらいましたね。今考えるととても良かったですね。

スタッフ

確かに、二科会の方であれば相当詳しいでしょうからね。

高橋

それで二科会は最初支部でやっていたんですが、ある時「本部の公募展もあるよ」と聞いたので、出してみたんですよ。最初はダメだったんですけど、3回目くらいに出した時に初入選しました。

スタッフ

すごいですね。

高橋

そこから、本部の方の公募展にも積極的に応募しようとなって、写真を出し続けましたね。それでどうにか、二科会の会友にはなれましたね。会友になるのは大変でしたね。初入選から会友に推挙されるのに、15年かかりました。

スタッフ

大変でしたね。それから2003年2004年と立て続けに賞を取られていますね。

高橋

そうですね。その時は立て続けでしたね。

 

 

高橋

あとはJPSの関係で、JPSというプロ写真家の協会があったので、そちらにも頻繁に応募していましたね。全部で7回くらい入賞しましたね。

スタッフ

ちなみにこの2003年のグランプリの時は、どのような写真を応募されたんでしょうか?

高橋

その時はウインドサーフィンでは無いんですよ。ある時八景島に行きましたら、オットセイやイルカのショーをやっていたんです。

スタッフ

八景島シーパラダイスですね。

高橋

その飼育員さんを真ん中に入れて、ショーの動物たちと一緒に写真を撮ったんですよ。それがグランプリになりました。

スタッフ

でもやっぱり「海」に関係ある写真なのですね。

高橋

そうですね。たまたま行ったら、いい光景だったので。

スタッフ

ご自宅が鎌倉にある、ということで海にはどうしても縁がありますね。

高橋

そうですね。海は多いですね。ただ鎌倉にいても、神社仏閣はあまり撮影はしないですね。

スタッフ

鎌倉は神社仏閣は多いですよね。

高橋

多いんだけれど…そういうのは、もっと年をとってからでいいかな、と思って。とにかくずっと海ばかり撮っていますね。

スタッフ

その他の賞も海ばかりなのでしょうか?

高橋

でも海だけじゃなくて、スナップ写真で賞をいただいたのもありますね。この2009年の時なんかそうですけど。それからプロフィールにもありますけど、東京の方で二回ほど写真展を開いたことがあるんですよ。「江ノ電のいる風景」というのと「東京駅新幹線ホーム」というの。

スタッフ

地元なので、江ノ電も結構撮られているのですか?

高橋

ただ江ノ電を撮るのでは無くて、必ず人とか周りの風景も一緒に撮影するようにしています。

スタッフ

電車だけでは無く…風景として撮影しているのですね。

高橋

そうです。「風景の中の江ノ電」というイメージで撮影しています。

スタッフ

なるほど。

高橋

「東京駅新幹線ホーム」の方は、これもある時たまたま東京駅の新幹線のホームに行ったら「面白い写真が撮れそうだな」と思ったんですよ。それから通うになって…。それもただ新幹線を撮るだけでは無くて、やはりそこに来る色んな人や風景を入れるようにして、撮影していますね。その写真展は、丁度去年の3月にオリンパスギャラリーで開催しましたね。

スタッフ

ではそういう海であったり、電車であったり、スナップであったりが中心なのですね。

高橋

実はまた最近、ウインドサーフィンも撮りだしているんですよ。

スタッフ

そうなんですか。

高橋

昔やっていたのを、また今の技術でやってみようかなと思ったんです。普段は電車などを撮影に行って、風が強い日などは海に行って、ウインドサーフィンを撮ろうかなと。

スタッフ

はい。

高橋

普段のような風じゃない、それこそ低気圧みたいな風…

スタッフ

台風並みですかね。

高橋

そうです。そういう時は海に行って、ウインドサーフィンを撮影します。もうすごい迫力の写真が撮れますね。

スタッフ

そういう時で無いと、サーファーもあまり来ないでしょうからね。

高橋

一時期ウインドサーフィンからは離れていたんですけど、たまたまある方と知り合って、その方がウインドサーフィンをやっていて、それがきっかけでまた海に行くようになって、ウインドサーフィンの撮影をするようになったんですね。

スタッフ

はい。

高橋

ウインドサーフィンのサーファーが波が来るのを待っているんですよ。それで様子を見ていると、ものすごい風が吹き出した途端みんな「待ってました」と言わんばかりに海に出ていくんですよ。

スタッフ

はい。

高橋

それで「ウェーブ」という、ちょっと飛ぶような技術もあるんですけど、みんなそれをやっているんですよ。

スタッフ

それはなかなか撮れないですね。

高橋

かなり迫力ある写真が撮れますね。

スタッフ

それはやはり近くにお住まいだからこそ撮れる写真ですね。

高橋

そうですね、それはいえますね。

スタッフ

ちなみに今は「プロ」として活動されているのでしょうか?

高橋

今は「プロ」になろうとしています。今年70になるんで、仕事はもうそろそろ片付けようかと思っているんですけど、なかなかそう簡単に辞める事も出来ないですし、自分が中心になっていないと、会社を辞めることも出来ない状況なので。

スタッフ

お仕事は別にされているんですね。

高橋

そこが上手くまとまれば、稼ぐ稼がないは別として、プロとしてやっていこうかなあと思っています。

スタッフ

素晴らしいですね。

高橋

それで今は日本写真家協会に入っているんだけど、プロの会員になれたらいいなあ、と思っています。

スタッフ

ちなみに大貫カメラに来るようになったのは、いつごろでしょうか?

高橋

最初にキヤノンのFTbを買った頃は、まだ大貫カメラは知らなかったんですけれど…神奈川二科会に入ってからかな?公募展に作品を出す時って、写真を大伸ばししないといけないんですよ、それを大貫カメラに頼んだのが最初だったかな。

スタッフ

公募展などに出す場合は、写真をパネルにしないといけないですからね。そうなると専門的な所に頼まないといけなかった、というわけですね。

高橋

それでその時に「カメラもここで買えばいいかな?」と思ったのがきっかけですね。色々な技術やカメラの選び方も教えてもらえるだろうし…ということで。それからですね。それ以前はさくらやであったり、ヨドバシカメラであったり、そういう所でカメラを買っていたんですが、今はもうずっと大貫カメラですね。

スタッフ

なるほど。

高橋

だから、オートフォーカスになってからのフィルムカメラは、ずっと大貫カメラで買っていますね。

スタッフ

やっぱりこの80年代後半くらいから大貫カメラに来るようになったという事ですよね。二科会の方の紹介がきっかけだった、という事ですね。

高橋

そうですね。

スタッフ

今でも大貫カメラに通われているのですか?

高橋

以前はしょっちゅう来ていたんですよ。それこそ毎週のように。何故かというと、フィルムのプリントも全部お願いしていたんです。

スタッフ

はい。

高橋

でもデジタルになって、自前でプリントも出来るようになってきたので、それからはそこまでしょっちゅう来なくはなりましたね。

スタッフ

そうですね。デジタルは自宅でプリントが出来ますからね。

高橋

それでまた、プリンタがどんどん進化しているんですよ。プロラボ並みに綺麗にする事が出来るんですよ。

スタッフ

綺麗になりますよね。

高橋

今までは毎週のように大貫カメラに来ていたんですけれど、それ以来あまり来る事が無くなってしまって。でもカメラは買いに来ていますね。

スタッフ

ええ。

高橋

2~3ヶ月に1度くらいは来ていますね。つい先日も来たばかりなんですけれど。

スタッフ

フィルムの現像などはご自身でやられたりするのでしょうか?

高橋

現像は、以前大貫カメラで現像セットを一通り揃えたんですけれど…結果として全然現像しませんでしたね。

スタッフ

現像は大変ですからね…。

高橋

一度だけやった事はあるんですけど、まず場所が無い。暗室も作ったんですけれど…丁度その頃デジタルが出だしたんですよ。それでプリンタもどんどんと進化してきたりして、どうしようかなあと思っている内に、結局やらずじまいになってしまいましたね。

スタッフ

現像は暗室を作ったり、薬品も使わないといけないので、大変ですよね。

高橋

大変ですね。

スタッフ

デジタルだと、プリントもすぐ出来るので、楽ですよね。

高橋

いいプリント用紙を買ってきて、そこそこのプリンタとパソコンがあれば、十分ですからね。

スタッフ

カメラを始めてオートフォーカスが出だして、デジタルも経験されて…カメラの歴史とともに来ていらっしゃいますね。

高橋

そうですね。FTbも本当に初期のものを買ったんだと思います。フィルムカメラだけで、何台くらい買い換えたかな…?少しずつ少しずつグレードアップしていきましたね。

スタッフ

カメラはずっとキヤノンを使われているのですか?

高橋

最近全部キヤノンにしましたね。以前はオリンパスも持っていて、オリンパスのOMDなども持っていて揃えたりしたんですけど、どうも何か違うんですよね。馴染まないんですよ。

スタッフ

確かにそういうのはありますよね。特定のメーカーの物で無いと使いづらいという事は。

高橋

どうも手に馴染まないんですよね。それでまたキヤノンにしたんです。

スタッフ

やっぱりそういう事は良くありますよね。

高橋

オリンパスは、でも今一つくらいは持っていたかな?オリンパスPEN-Fというカメラです。形が好きなんですけれども。またフィルムカメラの時は、ライカも使ったりしていたんですよ。何か形が良くて。

スタッフ

そういう形なども気になるのでしょうか。

高橋

カメラの形は気になりますね。

スタッフ

今はお休みの時に、撮影をされているのでしょうか?

高橋

そうですね、土日は極力撮影に行くようにしていますけど…週一でまずどこか東京の方に撮影に行くようにしています。私の撮影のテリトリーが東京駅や…それから今、渋谷のスクランブル交差点を撮影しているんですよ。

スタッフ

あそこは今、外国人の方がいっぱい撮影していますよね。

高橋

あそこも、結構色んなスナップが撮れるんですよ。それから東京方面に行くと必ず撮るのが、銀座の歩行者天国ですね。あそこでスナップ写真を撮って、夕方帰りに東京駅で撮影をして帰る、という流れですね。

スタッフ

やっぱりそういう、人間を中心にした撮影をされているのですか?

高橋

そうですね。日曜日などは極力遠出はしないようにして、地元周辺で江ノ電を撮ったり、海の方へ行ったり七里ヶ浜へ行ったり、散歩がてら撮影していますね。散歩も大事ですよね?

スタッフ

そうですね、大事ですね。

高橋

だからなるべく家にいないようにして(笑)。

スタッフ

でも散歩で海に行けるというのは、すごくいいですね。撮影には便利ですよね。

高橋

それで散歩していると夕暮れの写真なんかも、結構いいのが撮れますね。

スタッフ

撮影はカラー中心ですか?モノクロ中心ですか?

高橋

私はカラーですね。カラーなんですけれど今、カラーをモノクロにして整理しているシリーズがあるんですよ。それは今から5年くらい前、東京の方で撮影したんですけど、昭和の町並みみたいな古い建物があってその背後に高層ビルやマンションが立っているようなシリーズの写真なんですけど。

スタッフ

東京の下町の方でしょうか。

高橋

佃島とか、築地とか、スカイツリーとかがある辺りですね。それを5年くらいかけて回って、撮影しましたね。

スタッフ

確かにこの5年~10年くらいで出てきたような風景ですね。

高橋

とにかくそういう写真を、ずっと撮りためていたんですよ。そしてそれを東京の写真展なんかに応募したんですけれど、どこからも声がかからなかったんで、やめちゃったんですよ。

スタッフ

残念ですねえ。

高橋

それは結局お蔵入りになったんですけど、この東京駅の写真展の時にタウンニュースの取材を受けた事があって、その時に取材に来てくれた人に写真を見せたんですよ。そうしたら「お蔵入りにするのは勿体無いですよ」って言ってくれて。なので整理してまとめるついでに、モノクロにしたり編集作業しているんですよ。

スタッフ

デジタルはそうやって、自分で編集作業が出来ますからね。

高橋

楽しいですよね。仕事が終わって家に帰ってからは、ほとんど写真の編集作業をしていますね。過去の写真を見たり、編集したり。

スタッフ

写真を撮る方で違うんでしょうけれど、あまり編集をしないという方もいらっしゃいますね。

高橋

自分は編集をする方ですね。「この写真はどういうテーマのところに持っていくのがいいのかな」なんて事を考えたりして。写真をテーマごとに分類して…テーマを7~8個くらい持っているんですよ。その中で将来的に写真集などに出せればいいな、と思っていまして。

スタッフ

いいですね。

高橋

江ノ電の関係なんかも、費用の関係もありますが、写真集にしたいなあ、と考えています。それでデモ的な物は作ってみたりしたんですけどね。

スタッフ

写真展であったり、写真集であったりですよね。

高橋

ただ3~40ページ程度の写真集だとつまらないので、せめて120ページくらいにはしたいなと思っているんですよ。それくらい無いと、つまらないじゃないですか。やっぱり100ページ以上無いと、ボリュームが無いんですよ。

スタッフ

確かにページ数が少ないと、ちょっと物足りないですよね。

高橋

そうでしょう?だからそれくらいにはしないと、と思って。またさっき言った東京の古い町並みなんかも、そうやってまとめていってるんですが、枚数が多くて大変ですね。いいのを抜き出して、まとめたりして…セレクトしていくだけでも大変ですね。でも楽しい作業です。

スタッフ

デジタルだと何枚でも撮れてしまいますからね。

高橋

またそこからどれを選ぶか、ですよね。

スタッフ

フィルムを使う方だと、1枚を集中して撮るという方もいらっしゃいますけど、その辺りはいかがですか?

高橋

私は一枚一枚には、もちろんこだわっています。だから連写は絶対しないですね。

スタッフ

はい。

高橋

撮る前に必ず、あそこに行ったらああいう写真が撮れるな、ああいうシーンを撮りたいな、というある程度のイメージを作ってから撮影に行きますね。

スタッフ

あらかじめ先にシミュレーションをしておくのですね。

高橋

それで例えば東京駅の写真だったら、今まではこういうカットはあるから別のカットで撮れないか、みたいな事を考えたりしています。

スタッフ

そういうのを計算して、準備しておくということですね。

高橋

そうです。漠然とした撮影はしないようにしています。あらかじめイメージしていたようなシャッターチャンスに出会えると、すごい満足感がありますね。

スタッフ

逆にイメージしていたようなシーンになかなか出会わない時というのもありますよね?

高橋

あります。それはもうしょうがないですよね。そういう時は他に色々撮って帰るだけですね(笑)。でもそうやった中で、「いいのが撮れた」という事もありますね。

スタッフ

思った通りのものがちゃんと撮影できたら、気持ちいいでしょうね。

高橋

だから、写真は楽しみながらやっていますね。楽しみプラスもう一歩踏み出せればな…と考えています。

スタッフ

ではこれからも、撮影は続けていかれて、プロを目指してやっていかれるわけですね。

高橋

そうですね。撮影は続けていきたいですね。出来れば自分の作品で、何か相手に感じてもらえるものが作れていければな、と思います。

スタッフ

例えばこれから撮影してみたい物、場所とかありますか?

高橋

鉄道関係が好きなので、そういった鉄道の風景を撮っていきたいですね。

スタッフ

海外などで、撮影に行ってみたい所などありますか?

高橋

海外には行きたいんですけれど、今は勤めているというのもありますし、あと予算も無いですしね。今のところ海外に行くという予定は無いですね。ただ、行ってみたいという場所はありますね。例えば東南アジアの古い鉄道の風景であったりとか、インドの方のヒマラヤ鉄道みたいな所には行ってみたいですね。

スタッフ

ヨーロッパよりは、そういうアジアの方が興味ある感じでしょうか?

高橋

ヨーロッパも一回くらいは行ってみたいんですけどね。

スタッフ

鉄道というと、ヨーロッパみたいなイメージが漠然とありますけど…。

高橋

ヨーロッパもいいですよね。ヨーロッパ行くのなら、絵を見るのも好きなので、ルーブルとかの美術館に行ってみたいですね。色々行ってみたい所はあるんですけれど。

スタッフ

今までどこか海外に行かれた事はあるんですか?

高橋

今までは、ハワイに二回と香港に一回ですかね。そんなもんですね。

スタッフ

その時はカメラは持っていかれたのですか?

高橋

その時はまだカメラは趣味でやっていた程度の頃でしたね。それにハワイの内の一回は新婚旅行だったんですけどね。

 

 

スタッフ

大貫カメラとは、もうかなり長い付き合いになりますね。

高橋

長い付き合いですね。すごい長い付き合いです。カメラも何台も買っていますし。それで私の場合は、こちらでカメラの下取りもしてもらえるので、良く下取りしてもらっています。特にデジタルになってからはカメラを長く持たないようにしているんですよ。デジタルカメラは進化が早いじゃないですか。ある程度進化した段階で、古いカメラはまだ値段がつく内に下取りに出して、新しい物を買うようにしています。

スタッフ

では手元には、そんなにカメラは残っていないのですか?

高橋

そうですね、あまり無いですね。逆に下取りに出しすぎてしまっている感じですね。

スタッフ

では今は何台カメラをお持ちなのでしょうか?

高橋

今はですね…キヤノンが3台にレンズが4本くらい…。あとはオリンパスが1台にオリンパス用のレンズが1本でしょうか。

スタッフ

確かにいっぱい持っているという感じでは無いですね。

高橋

あまりいっぱい持つ方では無いんですよ。あまり保管する場所も無いですし。一応ドライボックスには入れるようにはしています。ただ鎌倉は海が近いせいもあって、ドライボックスに入れておかないとすぐカビが生えるんですよ。

スタッフ

なるほど。

高橋

だからドライボックスに入る範囲内で、カメラを買うようにしています。もうあと1台か2台くらいしか入らないんですよ。

スタッフ

では例えばシチュエーションごとにカメラを変える、というような事では無くて、一つのカメラをずっと使うような使い方でしょうか?

高橋

そうですね…ただやっぱり1台だと寂しいんですよね。3台くらいはどうしても欲しいんですよね。なのでその中で使い分けるようにしています。

スタッフ

スナップの時と電車の時でカメラを変えるような使い方ですね。カメラとの相性もあるんでしょうけど。

高橋

あと今言われているのが、「やっぱりプロになるんだったら中判カメラを持っていないとダメだよ」というふうに言われているんですよ。ただ中判カメラは高くて…。だから「出世したら買います」とは言ってるんですけどね(笑)。今フジのGFX 50Sという中判デジカメがあるんですけど、あればボディだけで80万円します。レンズが30万とか40万くらいします。レンズとカメラを揃えたら、100万円になってしまうんですよ。

スタッフ

それは手が出ないですよね。

高橋

どこかのコンテストでグランプリを取って、賞金でも出ればいいんだけどね(笑)。

スタッフ

では今後、プロになって賞金を稼いだりして…

高橋

でもプロになると逆にそういうコンテストとかに出せなくなってしまうんですよ。だから個人的な写真展を開いたり、写真集を出したり、専属契約を結んだりしていく感じですよね。でもそういう方向に行ければなあ、と思っています。

スタッフ

はい。

高橋

例えば写真の月刊誌なんかには、投稿などでは無く、口絵みたいなテーマのある所に出していければいいですよね。

スタッフ

プロになるという事は、そういう事ですよね。依頼があったら出かけていって撮影をして…という事ですよね。

高橋

そうですね。

 

スタッフ

でもこれだけカメラ歴が長いのであれば、きっと撮影依頼は来ると思いますよ。

高橋

今回のインタビューが、仕事に繋がればいいですよね(笑)。こういう営業活動が上手くいけばいいですし、また仕事としてやっていく中で認められていけばいいな、と思っています。

スタッフ

ええ。

高橋

やっぱりアピールしていく、というのは大事ですけど難しい事ですよね。

スタッフ

そうですね。どこかで自分というカメラマンがいるという事を、アピールしていかないといけないですよね。

高橋

だから写真展って大事なんですよ。オリンパスギャラリーとかメジャーな所で開催すると、プロが見に来るんですよ。

スタッフ

ああ、なるほど。

高橋

東京駅の写真も、JR東海とかのコンテストに出してみたりしたんですけど、結局依頼みたいなものは来なかったですね。だから難しいですよね。

スタッフ

最近だと、自分のホームページを作ってアピールされる方も増えてきていらっしゃいますよね。

高橋

ホームページはやっていないんですよね。でも今はそっちの方が大事ですよね。

スタッフ

ホームページであったり、後はブログとかTwitterとかInstagramだったりですか。

高橋

ああ、そういうのがあるんですか。

スタッフ

ああいうのだと、スマホで撮影して…っていう方が多いですけれどもね。

高橋

そういうのが上手くて、それで名前が出てくる人もいますからね。

スタッフ

それでは今日はどうもありがとうございました。

高橋

ありがとうございました。

 作品、インタビューなど何でも結構ですので、ご感想をお聞かせください。
お待ちしております!
大貫カメラ: ohnuki.c@lily.ocn.ne.jp